レジィ君からのメッセージ⑤
カーボン・ファーミングは持続可能な農業と地球諸問題の解決策
カーボン・ファーミング(二酸化炭素削減農法)
土壌中の炭素量を増やすことを目指す国際的なイニシアティブである「4 per 1000」によると、土壌の表面30〜40cmの炭素貯留量が年間0.4%増加すれば、毎年の人為的排出による大気中のCO2増加量を相殺できるという。土壌の炭素量が増加すれば、土壌の肥沃度を向上させ農業生産を改善し、さらに気候変動にも貢献することが可能となる。
欧州委員会では、気候変動への取り組みに大きく貢献し、炭素の隔離と貯留、および生物多様性の向上や生態系の保全などの他の要素にも相乗便益をもたらすことができると同報告書は結論付けており、欧州委上級副委員長のフランス・ティマーマンス氏は「気候変動対策によって、何よりもまず人為的なCO2の排出を削減する必要があると言う。しかし、大気からCO2を回収して土壌や森林に貯留できるように、自然の炭素吸収源を復元して保護する必要があると述べる。
環境再生型農業とは、具体的には植物の光合成を温室効果ガスの吸収手段とみなし、大気中の二酸化炭素(CO2)が吸収されて葉、茎、根に糖分として蓄えられるか、土壌に炭素として排出されると考える。農地を常に耕して土壌をひっくり返し、炭素固定能力を低下させてしまう代わりに微生物との共生を目指す(ふかふかの土を菌に作ってもらう)。
種子を筋蒔きするなどの農法を採用していくことで植物が土壌中に放出する炭素が微細空洞をつくり根張りが良くなる、糖度も上がることで収穫高と収入アップを目指す良循環で、農業生産者による、農地土壌中の炭素量の増加が期待されている。
近年アフリカでの、貧困にあえぐ農業生産者たちの劇的な収入アップにより高い評価を持たれている不耕栽培に近い。不耕栽培では、化学肥料や農薬は不使用である。土壌を草でおおうことで、土壌保湿を高め、根圏の世界では、土と根と微生物の多様性を重視する。土壌汚染や水質汚染、温暖化の改善策の鍵として注目されている。
米国上院で審議中の「Growing Climate Solutions Act of 2020」と呼ばれる法案によると、農業生産者が温室効果ガスの削減計画を提出すると、外部機関がそれを検証する。計画が承認されれば、生産者は予想される削減量に合わせて、排出量取引で売買される世界全体では二酸化炭素(CO2)換算で1億立方メートルにも及び、排出量取引での金額にすると、約3億ドル(約321億円)
クレジットを受け取る仕組みだ。
カーボン・ファーミングでは約2年で土壌改良ができ、収入アップが見込まれると考えられている。
いずれ日本においても、農業生産者の新たな安定収入源としてクレジット確保にもつながる潮流に乗ることができれば農業への新規参入者も増えて食料自給率の増加も期待できる。